胎児 → |
既に生まれているものとみなされる。但し、死産の場合は、その胎児はいなかったものとみなされる。 |
非嫡出子 → |
愛人との間に生まれた非嫡出子であっても、認知されると相続権が生ずる。認知請求は、父親と推定される男性の死亡後でも、3年以内であれば家庭裁判所に申し立てることが出来る。 |
養子 → |
養子は実子と同様に第1順位の相続人となる。
但し、一般養子は養親の遺産の相続人であり、また実の親の遺産の相続権も有する。一方、特別養子は養親の遺産の相続権は有するが、実親の遺産の相続権は有しない。 |
連れ子 → |
連れ子がいて再婚した場合、再婚相手が死亡しても連れ子のは相続権はない。
但し、再婚相手が連れ子と養子縁組をした場合は、第1順位の子として相続権を持つ。 |
特別縁故者 → |
被相続人の世話や介護をして生前の被相続人に尽くした人は、財産分与請求権が認められている。内縁関係の夫や妻も財産分与請求の申立を家庭裁判所に起こすことが出来る。 |
相続分 |
1、 |
法定相続分 |
1. 配偶者と子が相続人の場合
配偶者は相続財産の2分の1、子は相続財産の2分の1で、これを子の人数で割って分ける。但し、非嫡出子は嫡出子の2分の1とする。
2.配偶者と直系尊属が相続人の場合
配偶者が相続財産の3分の2、残りの3分の1を直系尊属が人数分で均等分割する。
3. 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
配偶者は相続財産の4分の3、残りの4分の1を兄弟姉妹で平等に分ける。
但し、非嫡出子の兄弟姉妹は、嫡出子の2分の1とする。 |
2、 |
遺留分割合(最低限の相続分割合のこと) |
1. 直系尊属のみが法定相続人である場合 → 相続財産の3分の1
2. それ以外 → 相続財産の2分の1
つまり、配偶者と直系卑属の場合、遺留分は常に2分の1となり、直系卑属の場合は相続人の組み合わせによって変わってきます。なお、相続人がどんな組み合わせであっても、兄弟姉妹には遺留分はありません。 |
3、 |
特別受益 |
被相続人の生前に、婚姻や養子縁組にため、または生計資本として特別に財産をもらうことを特別受益といいます。遺産を分けるときは、この特別受益分も相続財産として算定され、生前に贈与を受けていた人の相続財産からは、生前贈与の分が差し引かれます。 |
特別受益の具体例 |
1.婚姻または養子縁組にために受けた贈与
2.生計資本として受けた贈与
3.特定の相続人が受けた贈与
特別受益があった場合は、生前にもらった分を遺産に加えて、その総額を基準として、法定相続分で遺産分割を行います。特別受益者は、特別受益分を先取りしたとみなされるので、法定相続分から特別受益分を差し引いた分を相続することになります。 |
4、 |
寄与分 |
相続財産の維持増殖に特別に寄与した人に対して、本来の相続分に、その寄与分を上乗せして取得させるようにするもの。
相続人の中に特別寄与者がいる場合、遺産の総額から寄与分を差し引いた相続財産を決定してそれぞれの相続分で分け、寄与分は貢献した人に与えることになります。
寄与分をどの位にするのかは相続人全員で話し合って決めますが、どうしても話し合いで決着しない場合は、寄与者が家庭裁判所に調停・審判の申立を行って決めてもらう形になります。
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相続の方法 |
単純承認 → |
被相続人の一切の財産を相続する方法で、この場合は特に手続きする必要はありません。但し、借金やローンも全て引き継ぐことになるので、その返済をしなければなりません。
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相続放棄 → |
被相続人の一切の財産を放棄し、相続しない方法です。この方法の最大のメリットは、被相続人が作った債務の返済義務から免れることが出来る点です。被相続人の財産を調べたらプラスの財産よりマイナスの財産のほうが明らかに多いと判断されるときは、この方法の選択を考えてみることです。 |
限定承認 → |
プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ、という条件付きで相続を承認する方法です。よって、プラスの財産の範囲内で、負債を返済する義務を持つ限定承認は、どのくらい負債があるのか不明なときに有効な相続方法です。
但し、限定承認は、相続人全員がそろってしなければなりません。よって、相続人のうち1人でも単純承認する人がいる場合は、限定承認の選択は出来ません。 |
遺産分割協議 |
遺産分割協議は、相続人全員で行うことが原則です。 |
分割方法 |
1. 現物分割 → |
遺産をそのままの形で、相続人に分配する方法です。
財産の形を変えたくない場合や、相続人それぞれの受け取りたい財産が決まっている場合には有効な方法です。
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2. 換価分割 → |
相続財産の一部、あるいは全部を売却して現金に換え、その現金を各相続分に応じて分配する方法です。
これにより相続人同士の公平を図ることが容易になります。
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3. 代償分割 → |
1人が価値の高い財産を相続し、残りの相続人に超過した分を代償分として支払う方法です。
これは、遺産のほとんどが商店や工場といった事業用資産であったりして、後継者がそのほとんどを相続したい場合などに有効です。 |
4. 共有分割 → |
遺産の一部、または全部を相続人全員が共同で保有する方法です。 |
遺産分割が禁止される場合 |
1.
遺言による分割の禁止(但し、禁止期間は5年が限度とされています。)
2. 協議による分割の禁止
3. 審判による分割の禁止 |
遺言書 |
遺産分割協議は、相続人全員で行うことが原則です。 |
遺言の方式 |
1.自筆証書遺言 → |
遺言者が、遺言の全文と日付、氏名を自分で書き、押印したもの。 |
2.公正証書遺言 → |
公証人によって、遺言者が遺言書を作成し、保管してもらうもの。
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3.秘密証書遺言 → |
遺言者が、公証人と証人2人以上の前に封印した遺言書を提出して、自分の遺言書であることを述べ、封書に全員の署名・押印をしたもの |
以上の方式のうち、1.と3.の遺言書は家庭裁判所での検認が必要ですが、2の公正証書遺言については検認を受ける必要はありません。 |
遺言の内容を確実に実行する(遺言執行)には、遺言執行者が選任される必要がありま
す。遺言執行者とは、相続手続に関する一切の権限を有する人で、財産管理、執行の権限
を持っています。
遺言執行者は、遺言者が遺言の中に指定しておくこともできますが、指定がなかった場
合には、利害関係人が家庭裁判所に執行者の選任の申立をして決めてもらうことができま
す。 |